沖縄パン日誌

作った、買った、食べた、沖縄のおいしいパンにまつわる記録。

【番外編】喜如嘉の芭蕉布のはなし

前回の記事で

やんばるは大宜味村喜如嘉で出会った

お菓子と手しごとについて

紹介しましたが、

喜如嘉でやはり外せないのは

芭蕉布

 

芭蕉布会館を訪ねると、

作業工程を紹介する

約15分の映像があって、

それをわたしは2回も観てしまいました。

それでもまだ足りず、

スタッフの方に色々聞いたりして、

あまりに興味深く、

感動したので、

少しでも多くの人に知ってほしいので、

改めてご紹介したいと思います。

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芭蕉布は、

芭蕉という植物の皮の繊維を

糸に紡いで

それを織って布にする、

という工程で作られます。

 

会館や集落内、

その周辺には、

芭蕉の畑がいくつもあります。

3年育てた芭蕉を使うので、

生育年数に応じて

収穫する畑を変えていきます。

 

会館のすぐ隣にも、

大きく育った芭蕉の木が。

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ちなみに、

バナナに似ていますが、

バナナは「実芭蕉」というそうです。

同じ仲間なんですね。


芭蕉の皮を剥ぎ、

外側から内側にかけて

4層に分けてまとめていきます。

外側ほど繊維が固く、

内側にいくほどやわらかい。

着物に使うのは外から数えて3番目。

それより外は、

テーブルセンターやネクタイなどになる。

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収穫したら、木灰汁で煮て、

繊維をやわらかくする。

 

この、「煮る」作業は、

布に仕上げるまでに節目ごとに

何度も行われる作業。

そのたびに乾かして、

織ってからは、

半乾きのうちに引っ張って伸ばして

長さを出したりもするそうです。


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そうして、繊維を裂いたり、

しごいたりして、

細い細い繊維を、

一本の糸に紡いでいきます。

 

育つ畑によって、土壌の違いや、

あと海に近い場所だと固くなりがちなので、

100本の糸芭蕉を倒しても、

着物2着分ほどしか作れない。

2着って…

だからなおさら

畑もたくさん必要なんだろうな。

 

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色や太さが

均一になるように見極めて、

小さな結び目で糸をつないでいくその作業は、

映像で見てもまさに熟練の技。

どこがつなぎ目かわからないほど、

なめらかな線になっていくのです。


ちょうど、

「ちむどんどん」の中でも、

優子を演じる仲間由紀恵さんが、

糸を紡ぐシーンがありました。

 

「ベテランでないとできない作業」

と、

会館の方が話していたので、

優子さんも長く芭蕉布づくりをされているのかな、

なんて想像しました。


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布つくりって、どうしても

織りがメインのように思われるけど、

芭蕉布は、

糸づくりのほうが

工程がずっと多くて長い。

半年くらいかけて、

ようやく糸になるのです。

気が遠くなりそう!

 

こんなことを知った後で、

織られた反物や着物を見ると、

かかった時間や手間、

苦労まで詰まっているように感じられます。

 

これからもずっと残ってほしいと思うけど、

軽々しく無責任に言ってはいけないようにも思いました。

だって力仕事だし、根気もいるし、

あと糸芭蕉が台風とかでだめになることもあるから、

自然との付き合いもある。

だからせめて、

素晴らしい手しごとだということを

多くの人に知ってほしいなと思うのです。

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今年は沖縄本土復帰50年の節目、

それを機に当時を振り返ったり、

沖縄のいろいろな側面を紹介する番組、

雑誌など、よく目にします。

もちろん

「ちむどんどん」もそうですね。

 

そういったものをとおして、

多くの人に、沖縄のいろんなことに

ふれてほしいなあと

心から思ったのでした。

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【おまけ】

そういえば、

前に紹介したオクラレルカ。

 

職場にいるやんばる出身の方に

お話を聞くと、

いまオクラレルカが植えられているところは、

昔はビーグの畑だったそうです。f:id:mutsumin33:20220414204206j:image

 

だんだんほかの作物や、

それこそ

クラレルカにとって代わっていったのは、

畳の需要が減ったからでは、

とのこと。

 

そんなふうに、

かつてあった景色に思いを重ねると

タイムスリップした気分になって、

面白いなあと思いました。
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そして、

「いぎみてぃぐま」で購入した

お皿。

大きさやくぼみの感じが絶妙で、

買ってから毎日使っています。

見た目はごついけど、

軽いから扱いやすいのです。
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また行きたいなー。

泊まってのんびり

やんばる巡りしたいです。


参考リンク:
www.vill.ogimi.okinawa.jp